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旅人文化振興会メンバーのトシリンの海外協力隊時代(’86〜’88)の中米の旅です。
この旅行記風文章は、トシリンが商社員として台湾・中国など頻繁に出張生活を繰り返していた頃 海外での活躍を目指しはじめていた同僚の社員にあてて書いたものです。

世界が君を待っている

第一夜 5日目「グアナファトへのバスの旅」

旅はメキシコシティーからグアダラハラ、グアナファトへと続きます。

台湾でもそうですが、外国では旅の手段としてはバスが主役になります。 ですから都会の長距離バスの発着所というのは、人を旅にいざなう不思議な雰囲気に溢れています。

昔の上野駅には確かに同じような雰囲気が有りましたが、 メキシコのバスの発着所で、地方へ向かうバスを待つ人々の間に混じってうろうろしていると、 ドキドキと何かしらの旅立ちの時にいつも感じるうら悲しいというか、 行きたくないような不思議な感じがしてきます。

これは出張なんかで空港で、チェックインする時やBOARDINGを待つ間には感じてるんですが、 これがいったん飛行機が飛び立ってしまうと、 すっかりスイッチがONになって着いたら何しようかばかり考え始めるんです。

メキシコシティーには、バスターミナルが大きいのが北と南に2個所有って、行き先によって場所が違います。 なんせ日本の7倍ぐらい大きい国なので、バスの路線も途方もなく長くて沢山有ります。 チケットを買ってピットに入ると、数十台のバスが運転席をこちらに向けてずっらーっと並んでいます。

遥か北のエルパソの国境に向かうのや、カンクンやアカプルコに行くバス。 全部順番に乗ってみたくなりますね。

私はこの時、メキシコ第2の都市グアダラハラまで約10時間の旅をする為にバスに乗ったのですが、 ついでにホテル代も節約する事にして、午後6時ごろのバスに乗りました。 これは途中大きな町に2−3回しか止まらないアメリカのグレイハウンドバスみたいなもので、 スチワーデスみたいな制服着た女性がオレンジジュース配ってくれたり、 毛布を配ったり結構サービスが良かったです。

私は見られるものはなんでも見ておきたい性格なので、一番前の席で過ぎて行く景色を眺めていました。 そのうち暗くなってしまって、景色も何も無い荒れ地を高速道路だけがまっすぐ突っ切ってゆく夜の 世界になるのです。

夜のバスの空想

夜は暗いですが、訪れる国ごとに夜の色は違うのですね不思議だ。 で、うとうと寝てしまうと、夜中にちょっと大きめの町のバスターミナルにするするとバスが入って、 旅人が乗り込んでくるのですよ、いいんだなこれが。 こんな雰囲気や場面に居合わせる幸せをあなたにも分けてあげたいね。

それでやがて朝靄のなか周りが町らしくなり、やがてグアダラハラのバスターミナルに到着です。

ここで顔を洗って、ターミナル前に出ている屋台でタコスや、レタスとハムとアボガドの スライスをフランスパンに挟んだ「トルタ」と言うサンドイッチとか食べるのよ、うまいんだなこれが。

あー、帰りたいなー。自分の事だけ考えれば良くて、自分のやりたい事やれたあの頃に。 何にも出来る事がない、何も自信の無い不安な状況の人間だったけど、どこでも行ける自由だけはあったもんな。

バスのお話でした。

ところでロードムービーでバスが出てくる映画で好きなのは

「真夜中のカウボーイ」いい。 「セントラルステーション」みてみて。 「家族」山田洋次さん監督 あっこれは列車だごめん。 「サルバドル」や「エルノルテ」なんかもバスが出てくるでしょ。 あと「エルビアヘ」これ最高。 「モーターサイクルダイアリー」 も良かったなー。

次はグアダラハラと怪しい町グアナファトです。

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