第一夜 4日目「旅は心の中で響く」
クエルナバカ−メキシコシティー−グアダラハラ−グアナファトと旅は続きます。
クエルナバカは丘の周りに発展した町で、坂道が多くどこかヨーロッパの古い街並みを 思わせる街でした。
丘の上に町の中心「ソカロ」があり、その周りに昔の宮殿やお役所などがあります。 「ソカロ」というのは元々、彫像の台座の事を言うらしいのですが、メキシコシティー の宮殿前の広場に昔何かの彫像があり、その台座だけ残っていたのを皆が「ソカロ」と呼び 習わすようになったそうです。 それからメキシコでは街の中心の広場をみんな「ソカロ」と呼ぶとの事です。
この広場の中や周りには、カフェや、レストラン、アイスクリームの屋台や屋外の音楽堂など があり、いつもにぎわっています。
広場の一角に屋根だけ付いた小さい円いステージがあり、 周りにベンチがいくつも置いてあるんだけども、昼下がりに近所の女の子とお散歩に行くと、 バリッとキメタ弦楽5重奏団がコンサートをやってたりするんです。
お金もいらない、仕切りも無い、まったくのパブリックスペースで、 お茶しながらゆったり音楽を聴いて過ごして、もうずいぶん時間がたったなと思ってみても、 あれっまだ3時かなんて、やけに時間がゆったり過ぎて行くのです。
今夜どこ行こうか?映画行こうか、食事に行こうか、どこそこでパーティーがあるからそこにしようか、 でもうちに来てゆっくりゴハン食べる?とか、のどかな日々でした。
とにかく時間がゆっくり過ぎていく、しかも充実感がある。 大した事をやってないどころか、まったく何もしてないんだけど、 濃密な時間をむさぼり食べているような感じでゼンゼン焦らない、 ずーっとこのままでいいと願ってたなあ。
そんな日々を過ごしてごらんなさい。楽しんでも楽しまなくても一生の長さはかわんない だもの、楽しむでしょ。楽しむ事、精神的な楽しみ、五感で感じる楽しみいろいろ有りますが、 それを感じる事が出来る感受性を持つ事こそ、人間の深みや、心の豊かさを手に入れる元に なるのだと思うなあ。
真実を見抜く心、共感できる心、行動できる心、総てはその人の体験した あらゆる感情のデータベースの総量からやってくるんでないかな。