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旅人文化振興会メンバーのトシリンの海外協力隊時代(’86〜’88)の中米の旅です。
この旅行記風文章は、トシリンが商社員として台湾・中国など頻繁に出張生活を繰り返していた頃 海外での活躍を目指しはじめていた同僚の社員にあてて書いたものです。

世界が君を待っている

第一夜 4日目「旅は心の中で響く」

クエルナバカ−メキシコシティー−グアダラハラ−グアナファトと旅は続きます。

クエルナバカは丘の周りに発展した町で、坂道が多くどこかヨーロッパの古い街並みを 思わせる街でした。

丘の上に町の中心「ソカロ」があり、その周りに昔の宮殿やお役所などがあります。 「ソカロ」というのは元々、彫像の台座の事を言うらしいのですが、メキシコシティー の宮殿前の広場に昔何かの彫像があり、その台座だけ残っていたのを皆が「ソカロ」と呼び 習わすようになったそうです。 それからメキシコでは街の中心の広場をみんな「ソカロ」と呼ぶとの事です。

この広場の中や周りには、カフェや、レストラン、アイスクリームの屋台や屋外の音楽堂など があり、いつもにぎわっています。

広場の一角に屋根だけ付いた小さい円いステージがあり、 周りにベンチがいくつも置いてあるんだけども、昼下がりに近所の女の子とお散歩に行くと、 バリッとキメタ弦楽5重奏団がコンサートをやってたりするんです。

クエルナバカ ソカラ広場

お金もいらない、仕切りも無い、まったくのパブリックスペースで、 お茶しながらゆったり音楽を聴いて過ごして、もうずいぶん時間がたったなと思ってみても、 あれっまだ3時かなんて、やけに時間がゆったり過ぎて行くのです。

今夜どこ行こうか?映画行こうか、食事に行こうか、どこそこでパーティーがあるからそこにしようか、 でもうちに来てゆっくりゴハン食べる?とか、のどかな日々でした。

ピニャタのお祭り パーティ風景

とにかく時間がゆっくり過ぎていく、しかも充実感がある。 大した事をやってないどころか、まったく何もしてないんだけど、 濃密な時間をむさぼり食べているような感じでゼンゼン焦らない、 ずーっとこのままでいいと願ってたなあ。

そんな日々を過ごしてごらんなさい。楽しんでも楽しまなくても一生の長さはかわんない だもの、楽しむでしょ。楽しむ事、精神的な楽しみ、五感で感じる楽しみいろいろ有りますが、 それを感じる事が出来る感受性を持つ事こそ、人間の深みや、心の豊かさを手に入れる元に なるのだと思うなあ。

真実を見抜く心、共感できる心、行動できる心、総てはその人の体験した あらゆる感情のデータベースの総量からやってくるんでないかな。

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