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旅人文化振興会メンバーのトシリンの海外協力隊時代(’86〜’88)の中米の旅です。
この旅行記風文章は、トシリンが商社員として台湾・中国など頻繁に出張生活を繰り返していた頃 海外での活躍を目指しはじめていた同僚の社員にあてて書いたものです。

世界が君を待っている

第一夜 6日目「グアダラハラ」

旅と言うのも思い出しながら書いていると、次から次へといろいろ思い出され、そんなに濃い 体験だったのかと改めて思い至る次第です。

想い出の切れ端でも人生のいくらかは埋め合わせして、 日々を生きる力になれるのだから、出来る時にはあらゆるチャンスを生かしとくべきですね。

人に語れるなにかをもてることは幸せな事だと思います。 そう言えるものがあるのって素敵な事だと思いますよ。 そうゆう引き出しをたくさん持ってる、じいさんばあさんになりたいやね。 なにかあると同じ話を繰り返さなければならないのはさみしいもん。

さて、グアダラハラに到着したところでしたね。 この町はメキシコ第二の都市、マリアッチ発祥の地でソカロ前の広場などでは、 くそ暑い真っ昼間から観光客目当てのマリアッチ楽団が何組も周りのレストランやカフェなどでたむろしています。

グアダラハラのソカロ

例のやけにカーンと抜けた空の下でビールを飲みながら、 アメリカやヨーロッパの観光客のテーブルで盛大に能天気なマリアッチをやらかしてるのを聴くのは、 人生楽勝、なんでもO.K.総ていいほうにころぶのさ、と言う感じで力が抜けて楽になります。 ラテンのいいのはこの感じのところだね、人生も、生きる事も、死ぬ事でさえ肯定的なところ。

グアダラハラは大きな町なので旅情を掻き立てるものはあまり無く、2−3の名所を回って そそくさと次の目的地を目指して再びバスに乗ってしまいました。

グアダラハラのサポパン寺院

旅の本番は子供の頃からの憧れの町、グアナファトです。 ここはどうしても行きたかったの。 子供の時レイ・ブラッドベリと言う小説家の本にこの町を題材にしたのがあって、 それがとても好きで何時か行ってみたいと夢見てたのよ。

レイ・ブラッドベリと言うのは、普通SF作家として分類されているけど、 どちらかというとアメリカの江戸川乱歩という感じで、文章に妖しい薄暗がりがチラチラする、 読んでてゾクゾクする文章を書くんですよ。細かい筋立ては忘れちゃったけど、そこで描かれる グアナファトは妖しいヨーロッパの薄暗さと、ラテンの暑苦しい薄気味悪さに満ちた、アニメの カリオストロの城みたいな魅力のある町で、迷い込んだら二度と出てこられなさそうな町でした。 実際期待に違わぬ町でしたよー。

第一夜の旅の最後の町グアナファトのお話は次で詳しく。

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